JR東海道本線の蒲郡駅の南側。
ちょこんといった感じに名鉄蒲郡駅があります。
名鉄蒲郡駅を出発した電車はしばらく東海道本線と並走します。
でも、それも蒲郡競艇場駅まで。
蒲郡線はそこからJRと別れ、南へ向かってのんびり走ります。
2両編成の真っ赤なワンマン電車。
同じ愛知なのに、遠くに旅行に来た気になってしまいます。
目的の形原駅までは、蒲郡から約7分。
静かなたたずまいの無人駅です。
この駅が赤線・形原歓楽荘の最寄り駅なんですね。
今でこそ、30分に1本の各駅停車が停まるだけの駅ですが、以前は特急停車駅だったそうです(ウィキペディアによる)。
形原には形原温泉がありますが、形原歓楽荘があったのは温泉街ではありません。
今は埋め立てられて海岸線が遠くなっていますが、当時は海沿いだった下川原でした。
『愛知県警察史』によると、形原歓楽荘の業者数は9軒となっています。
ただ、なかなかよい資料に出会えなかったので、訪問時点でぼくが確認していた特殊飲食店は1軒だけでした。
名鉄バスの音羽橋(おっぱばし、と読みます)バス停の脇から細い通りに入ります。
この通りに、その1軒の特殊飲食店がありました。
通りの入り口付近にしもた屋がありますが、それ以外は住宅街にしか見えません。
そんな地味な通りを行ったり来たりしていますと、ちょうどごみを捨てに出てきたお姉さんがいました。
年齢的にも昔のことを知っていそうなので、お話をお伺いすることにしました。
お姉さんによると、この地味な通りが赤線のメインストリートでした。
左右にお店が通りの向こうまで並んでいたそうです。
ちょうど、お姉さんがごみを出した場所の向かい側、ここが昔は木村館というお店(業態は旅館)でした。
今はもう取り壊してしまったそうですが、下の写真の右側のあたりです。
1962年の住宅地図だと大村館と表示されていますが、木村館の誤りです。
また、下の写真の右側の建物が遊郭(とお姉さんはいいました)、左側の建物が置屋さんだったそうです。
下の写真は料理旅館・初音さん。
初音旅館さんには置屋・喜乃栄が併設されていました。
お姉さんによると、初音旅館は明日から取り壊しが始まるところだとのことでした。
今、google mapの航空写真を見ますと、初音さんがあったところは黒々とした地面がのぞいています。
予定通り、取り壊されてしまったのでしょう。
なお、ストリートビューでは在りし日の初音さんの姿を見ることができます。
形原歓楽荘・行き方
名鉄蒲郡線形原駅下車。
駅前を通っている栄町通りを東へ300mの音羽交差点を北へ曲がり、川を渡ってすぐのY字路を右へ。
本文では蒲郡駅から形原駅に向かっていますが、反対側・吉良吉田駅から形原駅に向かう方が景色が良いので
おすすめです。