名古屋駅から、近鉄電車で1時間半ほどで久居駅に着きます。
久居駅は一日に数本の特急が停まるものの、地味な地方の駅といった風情で駅前もコンビニが一軒あるぐらい。
日曜の午後というのに、閑散としておりました。
見事な柴垣のある家。
その久居駅からバスで5分ぐらいで新地バス停に着きます。
新地というその名から想像されるように、ここには遊郭がありました。
『全国遊廓案内』によると、ここにあったのは久居町北新地遊廓。
七軒の貸座敷があったとされています。
北新地遊廓跡。
新地の近くに旅篭町という場所があります。江戸時代はそこに遊廓があったそうですが、その遊廓が移転してできたのが、北新地遊廓です(『久居市史』)。
この遊廓が戦後も残って赤線となりました。
当時の娼家は、
松月
金生
登茂惠
山半
など。
松月は『全国遊廓案内』にもその楼名が出ています。
上の写真の道路の左側部分が当時、妓楼があった一帯となります。
なお、久居駅の東側(自衛隊の駐屯地がある側ですね)にもそういう家があったという話も聞きましたが、残念ながら裏が取れませんでした。
榊原川の流れ。
さて、新地のバス停からさらにバスに乗り、30分ぐらいゆられたところにある榊原温泉。
榊原温泉までの道は、途中まで昔の軽便鉄道の廃線跡と同じルートだそうです。
途中にあった料理屋さんの店先に、『七栗駅前〇〇軒』と書いた古そうな木箱が積まれていました(下の写真の赤丸の部分。信号待ちのバスの中からスマホで撮ったので、『前駅栗』しか写ってませんが)。この七栗駅というのが、ここを走っていた軽便鉄道、中勢鉄道の駅なんですね。
しかし、軽便鉄道が廃止になったのが約77年前、果たして80年近い昔の木箱が残っているものなのか、少し疑問はありますが。
さて、バスがすれ違うのも困難な細い道を通って(比喩ではなく、実際に、ある場所ではバスがバックをして対向車に道を譲っていました)榊原温泉に着きました。
射山神社から温泉街を望む。
温泉街の華やかさはなく、かといって秘湯というわけでもない、静かな温泉です。
江戸時代に祖を持つ由緒正しい榊原温泉ですが、実は、こちらにも娼家がありました。
大人の事情で、屋号は載せられませんが(最近、そういうお店ばかりでごめんなさい)、上の写真のあたりに建っていました。なお、当時の建物は残っていなくて、今はもう建て替えられたそうです。
モニュメントのように川沿いに建っている国民宿舎・紫峰閣の廃墟が印象的な榊原温泉でした。
(2020年1月2日)